ローカル局の矜持、郷土愛と救済支援[UMKカントリークラブ]

写真:落合隆仁(グラン)
文:Lisa Okuma(リサオ)
取材協力:UMKカントリークラブ

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てるてる坊主の起源は中国、掃晴娘(サオチンニャン)と呼ばれる、ほうきを持った少女の切り紙。その少女、晴娘が人々を大雨から救うため自ら犠牲となって天に昇ると、空は雨雲をほうきで掃いたように晴れわたったという言い伝えから、晴天祈願に用いられるようになった。これが日本に伝わり、天候の祈祷をする僧侶にちなんで、てるてる「坊主」になったといわれている。とはいえ、中国ではいまやほとんど廃れた風習。日本でも、遠足や運動会などの屋外イベント直前に子どもが作る程度だろう。他にいるとすれば、待ちに待ったラウンドが雨予報で半泣きのゴルファーか。そう、雨ゴルフはできればしたくない。いろいろとめんどくさい。でも、そういえば、いままでゴルフ場で「てるてる坊主」を見たことはなかった。
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なので、雷雨予報に挫けそうになりながら訪れた宮崎県の「UMKカントリークラブ(UMKCC)」の玄関で、白い坊主を見つけたとき、懐かしさと新鮮さにキュンとなった。従業員の女性が自主的に作ったてるてる坊主。マニュアルにない、ちょっとした思いやり。クラブハウスに入る前から、ここはきっと素晴らしいゴルフ場に違いないとワクワクした。
南海型気候により、温暖で南国情緒にあふれた宮崎県。その県民性は、やさしく、おだやか、誰にでも親切といわれている。また、郷土愛が強いのも特徴。スポーツ振興にも熱心で、昔からプロ野球の春季キャンプ地として知られているが、いまではサッカーチームや大学の運動部などもキャンプに訪れている。

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また、宮崎といえばなんといってもゴルフ。毎年11月には、男子ツアーのダンロップフェニックストーナメント(フェニックスCC)、女子ツアーのメジャー大会、LPGAツアーチャンピオンシップ(宮崎CC)が長きにわたり開催されてきた県でもある。
地元、株式会社テレビ宮崎の子会社、テレビ宮崎ゴルフ株式会社が経営するUMKCCは、もとはいわゆる普通のゴルフ場だったが、県外からのプレーヤーをもっと呼び込むためには何か仕掛けが必要だと考えていた。さらに、秋口から2月までは県のイベントが目白押しなのに、3月はなにもないため、そこでトーナメントを開催したらどうだろうと試行錯誤が始まった。それが「アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI」開催に結実したのだ。

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もともと「アクサレディス」は、2007年からアクサ生命保険の主催により北海道苫小牧市で行われていた試合だった。しかし、フランス本社より、今後スポーツには協賛しないという発表があったことから、2009年で終了した。それを、株式会社テレビ宮崎の社長で、テレビ宮崎ゴルフ株式会社の渡邊道徳会長が直談判して口説き落としたのだ。「トーナメントの大きな柱は地産地消、地元経済への貢献です。もうひとつの柱は、東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城、福島への支援です」(テレビ宮崎ゴルフ株式会社、関計夫社長)

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会長の熱い想いとトーナメントの意義に賛同し、特別協賛を決めたのだった。そして2013年、「アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI」として復活(正式には新規開催扱い)。2016年現在、賞金総額8000万円、優勝賞金1440万円の大会となった。結果、それまで県外客の割合が10%程度だったのが、トーナメント開催後に激増した。月によっては40%を超えることもある。プロが闘うトーナメント開催コースでプレーできるのは魅力的だし、プロの凄さを知ることもできる。

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しかも、同市にはフェニックスCC、宮崎CCもある。「同じ市内にトーナメント開催コースが3つもあるのは日本でここだけです」(関計夫社長)。さらに、いずれのコースもアクセスがとてもいい。UMKCCは市内から15~20分、空港からも35分なので、時間をかなり有効に使うことができる。
もちろんトーナメントを開催すれば莫大な費用がかかる。テレビ局の強みでCM枠など自由にセールスできるとしても、収支でいえば赤字。それでも地元に貢献することが、局の一番の方針。キー局にはない、ローカル局の存在意義であり矜持なのだ。「看板からギャラリースタンドからマーキーテントまで、すべて地元の業者さんにお願いしています。ギャラリーが来れば当然ホテルや飲食店も稼働します。経済効果は計り知れません」(関計夫社長)。

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トーナメント時だけでなく、通常営業時においてもその姿勢は変わらない。レストランで扱う食材も地元のものだ。一番人気は「石焼妻地鶏(つまじどり)」。地鶏というと黒っぽくて歯ごたえのあるものが多いが、西都市のブランド「妻地鶏」のなかでも肉質のやわらかいメスの肉だけを使用しているため、年長者の歯にもやさしいと大好評だ。熱々に焼かれた鉄板の上で、竹の器に盛られた妻地鶏を豪快に焼く。その演出が味をさらに特別なものにする。そのほか、ステーキサラダ(宮崎牛)、牛ホルモン味噌焼きうどん、チキン南蛮、冷汁、鯛茶漬けなど。ひとつに絞るのが難しすぎる豪勢な品揃えだ。

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「わたしたちには、もうひとつ、大きな柱があります。それはジュニアの育成です」(関計夫社長)。宮崎県ゴルフ協会のジュニア育成コースにも指定されている。練習は無料、大会も開催している。ゴルフを通じて、人生の大切な価値観を教えることが、ゴルフの普及と発展の為に寄与すると考えているからだ。その恩恵を受けてジュニア時代からUMKCCで腕を磨いたのが、柏原明日架プロ(現・富士通所属)や永峰咲希プロ(現・ニトリ所属)。ふたりが所属を離れた今でもスポンサーとして協力を惜しまない。とにかく全面的に応援の姿勢なのだ。

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だからこそ、アマチュアプレーヤーだけでなく、女子プロたちもここに集まってくるのだろう。LPGA開幕前、合宿に来る選手もどんどん増えている。温暖な気候、格安の料金。それだけではない。会長を筆頭にここで働くひとたちにあたたかい歓迎の気持ちがあるからだ。未来を見据えれば、必要なのは損得勘定ではなく、また来たいと思ってもらえるよう尽くすことだと知っているからだ。

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