本州最北端に吹くスコットランドの風 [夏泊ゴルフリンクス(青森県)]

写真:落合隆仁(グラン)
文:小澤裕介
取材協力:メイプルカントリークラブ

01

毎年、様々なゴルフ雑誌やサイトで「全国コースランキング」が発表されるが、東北エリアからランクインするコースは数少ない。そんな中、必ずといっていいほど選出されているのが岩手県滝沢市のメイプルカントリークラブだ。盛岡駅から車で約35分、小岩井農場に隣接した閑静な丘陵地帯に展開している。
ランクインする大きな理由のひとつが、秋のゴルフシーズンに楽しめる紅葉の美しさだ。コース名の「メイプル」はこの地に自生する「楓(かえで)」の英名。その名が示す通り、コース内は楓をはじめ、カラマツ、ブナ、白樺などの自然林で覆われ、秋は黄色や赤で鮮やかにコースが彩られる。今回はそんなメイプルCCの魅力を紹介したい。

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02 紅葉に由来する各ホールのニックネーム 8H「一人静」Par4 401Y

メイプルCCでユニークなのが、スコットランドのゴルフ場のように各ホールにニックネームが付けられていることだ。それぞれの名は各ホールの特徴やエピソードに由来しているが、紅葉にちなんだ名前が付けられたホールもいくつかある。
14番ホールのニックネームは「紅葉が原」。コース左サイドに紅葉の木が多く、原っぱのように広々としていることから名づけられた。中でも鮮やかに赤く染まる通称「祇王の楓」は一見の価値のある美しさだ。
「紅葉谷」と命名されたのは最終18番ホール。秋になると両サイドの林がダイナミックに紅葉し、まるで紅葉に囲まれた谷の中でプレーするような気分が味わえる。また、8番ホールの「一人静」も紅葉に由来したニックネーム。グリーン奥には楓の木があるが、秋になると鮮やかに色づき、周囲の緑とのコントラストによって楓が静かに佇んでいるように見えるのだ。

03 季節ごとに楽しめる豊かな自然 18H「紅葉谷」Par5 524Y

黄色と赤に覆われる秋のメイプルCCは魅力的。しかし、秋以外のシーズンも豊かな自然を楽しめるのがこのコースの特長だ。例えば正面にクラブハウスを望む3番ホール。このホールは「エデンの園」というニックネームが付けられているが、コース左サイドの花壇に四季折々の花々が植えられる印象的なホールだ。
また、前出の18番ホールは両サイドの紅葉が“谷”を作り出すホールだが、こちらは春もゴルファーを楽しませてくれる。数百本の山桜が咲き揃い、コースを桃色に染めるのだ。桜の季節が終わると、芽吹きから新緑へとコースは一気に表情を変える。新緑に包まれながら涼しい気候の中でプレーする夏場もまた、メイプルCCのベストシーズンといえるだろう。

04 トップアマ金田武明氏の処女作にして代表作

メイプルCCの自然の美しさを紹介してきたが、「全国コースランキング」にランクインする理由は、もちろん他にもある。レイアウトの緻密さ、戦略性の高さだ。設計したのは金田武明氏。1960年の世界アマにプレイングキャプテンとして出場したほか、霞ケ関CCや相模CCのクラブチャンピオンだったトップアマだ。金田氏は生涯で国内に7コースを設計しているが、メイプルCCは処女作にして彼の代表作といわれている。
特徴的なのは、世界中のコースに精通した金田氏が自然の地形を生かしながら世界的名コースをモチーフに設計していること。例えば、1番「一期」と10番「一会」はダブルグリーンを採用。ホールは完全にセパレートされているが、グリーンのみ共用というデザインだ。これはゴルフの聖地といわれるセントアンドリュースをモチーフとしている。

05 世界の名コースをモチーフに設計 16H「禅」Par3 168Y

セントアンドリュースをモチーフにしているのはもうひとホールある。前出の3番パー3ホール「エデンの園」だ。通称「イーデン」と呼ばれるセントアンドリュースの11番ホールを模しており、精度の高いショットでバンカーに囲まれたグリーンを狙わなければいけない。ピンがグリーン右サイドに切ってある場合はバンカー越えのショットとなり、難易度がさらに高くなる。
また、左サイドが池に囲まれている16番ホール「禅」は、オーガスタナショナルGC16番、スパイグラスヒル13番、グリーンはトーナメント・プレーヤーズ・クラブ17番をベースにしている。難易度が高いのはピンポジションが左にあるケース。右から安全に攻めるのか、池越えショットでピンをデッドに狙うのかの選択に迫られる。

06 魔女が潜む11番ホールグリーンが2つある15番ホール 15H「岬」Par4 406Y

11番(パー4)はグリーン手前までがアメリカのハーバータウンGC18番と廣野GC18番を、グリーンはスパイグラスヒル4番を参考にしたホールだ。ティショットの落としどころが狭いうえ、左サイドの谷にも注意が必要。この谷が「まるで魔女がいるかのようにボールを谷底に引き寄せる」という意味から「魔女の丘」と名付けられた。
「岬」というニックネームが付けられた15番ホールの左ドッグレッグ・パー4はアイルランドのラヒンチGC6番を模している。このホールのユニークな点は、グリーンが2つあり、どちらを狙ってもOKになっていること。岬状になった山の突端とその麓にあたる位置に約50Y距離が違うグリーンが作られているのだ。手前のグリーンを狙う場合は打ち下ろしのシチュエーション。グリーンはアンジュレーションが激しく、パッティングの難度が高い。一方、奥のグリーンは砲台になっており、高さのある球でグリーンをとらえる必要がある。

07 個性溢れる18ホールの後は19番ホール「どんとはれ」へ

メイプルCCでもっとも難易度の高いホールは、チャンピオンティから545Yと全ホールの中で一番距離が長い7番(パー5)ホールだ。グリーン手前に岩魚のバンカーがあることから「岩魚」というニックネームがついたこのホールは、ティグラウンドからグリーン上まで一切気が抜けない。グリーン手前には池があるが、残り170Y地点までは池が見えないため、池の位置、池までの距離を常にイメージしてマネジメントしなければならないのだ。また2打目は池の手前が池に向かって傾斜しているため、レイアップする場合はその計算も必要になる。さらに、左足下がりのライになり、難しいアプローチを打たなければいけない。
18ホールすべての景色、レイアウトを存分に楽しめるが、このコースにはもうひとホール「どんとはれ」と名付けられた19番ホールが用意されている。「どんとはれ」とは岩手の方言で「おしまい」という意味がある。距離は69Yと短いが、グリーンの中にバンカーがあり、なかなかの難易度だ。メイプルGCを訪れた際は、最後にぜひ19番ホールもプレーしてもらいたい。

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