コースデザイナー川田太三氏が語る設計意図[鮎滝カントリークラブ(香川県)]

写真:落合隆仁(グラン)
文:出島正登
取材協力:伊豆ハイツゴルフ倶楽部

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“隠れた名コース”、“知られざる名門”など、ゴルファーに行ってみたいと興味を誘う謳い文句はよく耳にする。実際にラウンドしてみたら期待以上だったり、期待以下だったりするのはしょうがないことだが、今回訪れた伊豆ハイツゴルフ倶楽部には良い意味で完全に期待を裏切られた。
「伊豆に名コース?」と思う人も多いだろう。確かに山と海に囲まれた地形が主となる伊豆半島では、雄大なコースは無理だろうと想像してしまう。しかし、そこには想像を超える景観が広がっていた。伊豆ハイツゴルフ倶楽部の開場は昭和61年8月15日。平成26年にマレーシア系の会社に経営が移行し、伊豆ゴルフ倶楽部から伊豆ハイツゴルフ倶楽部へとコース名を変更。マレーシア人オーナーは、この地を訪れた時に、富士山や駿河湾をも含めた景色に心を奪われたと言う。

   伊豆ハイツゴルフ倶楽部

02 “あるがままの状態で打つ”譲れないこだわり

「うちの様なコースがあってもいいじゃないですか」と笑いながら話すのは支配人を務める鈴木公和氏。コース開場時から携わり続けている鈴木氏は、支配人でありプロゴルファーでもある。だからこそコースへの強いこだわりがある。
伊豆ハイツゴルフ倶楽部には、前進4打の特設ティや隣接ホール間によくある1ペナルティのローカルルールは存在しない。OBを打てば打ち直しだし、ロストボールになりそうな打球は暫定球を打つ必要がある。コース内にある池に関しては、厳密に入った位置が確認できなかった時のためにウォーターハザード用のティが設けられているが、基本はあるがままの状態でゴルフをするという理念が息づいている。これを聞いて「え!前進4打がないの?」と思ったゴルファーは、日本独自のゴルフ文化に染まり過ぎているのかもしれない。

03 実力以上のスコアは出ない 実直で誠実なコース 4H Par3 152Y

コースの歴史上、バブル時代なども経験しているはずだが、現在も含めプレー時間に関して問題はないのかと質問をすると、「開場からずっとこのスタイルです。コースの外周にはOBがありますが、基本はあるがままのプレーを楽しむことができます。隣のホールに打ち込めば、隣から打ってもらって大丈夫です。意味のわからない1ペナとかがあるとゴルフが面白くなくなるじゃないですか」と鈴木支配人は言う。
確かにその通りだ。前進4打を使ってベストスコアを更新したと言っても如何なものかと思う。ただ各コースには事情があり、プレーの進行のために設けられているローカルルールは致し方ない。でも伊豆ハイツゴルフ倶楽部なら、日本ではあまり味わえないありのままのゴルフを体験することができるのだ。個人的には、そこにかなりの魅力を感じた。

04 名匠・加藤俊輔が日本で 描きたかった本物のコース

コース設計は加藤俊輔氏。太平洋クラブ御殿場コースをはじめ、数々の名コースを手がけてきた日本を代表する設計家。自然を巧みに活かす手法は世界的にも評価を得ている。この地を最初に見たときに、加藤氏の頭の中にすぐさま18のストーリーが描かれたことは容易に想像できる。日本らしい美意識を重んじる加藤氏だけに、設計しがいのあるコースだったに違いない。過去にUSAゴルフダイジェスト誌における“世界の名コースベスト100”の中で日本のゴルフ場20選にも選ばれていることからも、このコースの完成度の高さがうかがい知れる。
アウトコースはイギリスのリンクスを彷彿させる景色が広がり、インコースは林にセパレートされたアメリカンコースの雰囲気が漂っている。アウトとインでこれだけ趣が異なるコースも希少と言える。

05 シグネチャーホールは 砂漠に囲まれた3番パー4 3H Par4 358Y

鈴木支配人に名物ホールを聞くと、かなり悩んだ末に3番ホールと答えてくれた。実際にラウンドしてみると鈴木支配人が悩んだ理由がわかった。18ホールそれぞれに個性があり、ここまで各ホールが印象に残るコースは少ないのではないだろうか。
そんな中で選ばれた3番ホールはフェアウェイの三方が砂漠に囲まれた孤島になっており、正確なティショットが要求される。ティグランドに立った景色からは、どこに打てばいいのかわからない難しさを感じるが、距離的には長くないため、コースマネージメントをしっかり行えば、パーを獲ることはそれほど難しくはない。3番ホールを含め、ティショットに関して言えば、単純に飛ばせば有利というホールが少ない。グリーンを狙い、バーディを奪うには必ず運ばなければならない箇所がフェアウェイのどこかに存在している。加藤俊輔氏に挑戦するがごとく、頭を悩ますのもこのコースの面白さの一つと言える。

06 都内からは日帰りも可能だが やっぱり温泉は楽しみたい

東京駅から新幹線を使えば、最寄りの修善寺駅まで約1時間40分。そこから車で25分ほどの場所にあるため、都内からなら十分日帰りでプレーを楽しむことができる。
でも、せっかく伊豆に来たのだからやっぱり温泉は外せないだろう。最寄り駅がある修善寺のほか、伊豆長岡や伊東に滞在する選択肢もある。例えば金曜日に仕事が終わってから、新幹線を使い三島経由で修善寺駅に向かい、翌日にレンタカーでコースへ。ゆっくりプレーしたのちは、再び三島経由で東京へ。このプランなら週末でも渋滞を気にすることなく温泉とゴルフが楽しめる。日帰りでせわしなくプレーするよりも、たまには時間にゆとりを持ったゴルフを楽しんでみてはどうだろう。

07 コースのお風呂も 掛け流しの温泉なのが嬉しい 16H Par3 158Y

それでも仕事の関係で日帰りでしかプレーできないという人にも安心。コースのお風呂も温泉が湧いている。クラブハウス横には宿泊施設も併設しているので、コースに泊まることも可能だ。まだこのコースを知らないという人には、是非一度は体験してもらいたい。
飽きることがないとはこのようなコースのことを言うのだと改めて感じさせてくれる。日帰りでは勿体ないのは温泉だけではなく、コースに関しても言えることで、1度回ったら必ずもう一度ラウンドしたくなる。1泊2日で2ラウンドしても、伊豆ハイツゴルフ倶楽部なら飽きることがないと自信を持って言える。

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