札幌と小樽、どちらからも好アクセス、圧倒的な景観と戦略性に富んだ27ホール[札幌テイネゴルフ倶楽部]

写真:相田克己
文:Lisa Okuma (リサオ)
取材協力:札幌テイネゴルフ倶楽部

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さかのぼること44年、1972年開催の札幌オリンピックは、アジアで初めて開かれた冬季五輪だった。日本ジャンプ陣の活躍に国中が熱狂し、70m級(現在のノーマルヒル)で日本人3選手が表彰台を独占したことから「日の丸飛行隊」という言葉も生まれた。アルペンスキーとリュージュ、ボブスレーの会場となったサッポロテイネスキー場には、柳宗理氏がデザインした聖火台が今もそのまま残っている。そのスキー場の向かい、標高約400~450m、手稲山の中腹に、札幌テイネゴルフ倶楽部はある。ゴルフ場を目指して来たはずなのにまず目に入るのはスキー場。江戸っ子はちょっと頭が混乱するけれど、よく考えればどちらも山に縁がある。そして北海道には雪が降る。なるほど両立します。両立どころか年間通して雄大な自然のなかでスポーツができるパラダイスだ。

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札幌市内中心部から小樽方面に30分、新千歳空港からなら60分。高速道路のICを降りて10分の好アクセス。札幌市内と日本海を一望する「絶景」コースだと事前に聞いて知っていたのに、マスター室前に立った瞬間、山と海と街を見渡すダイナミックなパノラマビューに圧倒された。条件がよければ、オロロン鳥の繁殖地として有名な天売島(てうりとう)や、イチイの原生林で知られる焼尻島(やぎしりとう)が見えることもある。「といっても年に一度ぐらいですかね」と微笑む支配人の岩堀修氏。「みなさん空港に近いゴルフ場を探されますけど、札幌市内に泊まるのであれば所要時間はこちらとあまり変わらないんですよ。札幌市内のホテルからの送迎バスもありますし。それにここは街との距離感がいい。市街地周辺のコースだと建物が近すぎて」。確かにそれでは街中のゴルフ場と変わらない。せっかくここまで足を伸ばしたなら、北海道らしいスケールの大きさを感じられるコースがいい。

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宿泊に関していえば、いっそ小樽に泊まるという手もある。札幌テイネGCまで現状では車で約50分。午前中にスルーでラウンドして午後は小樽観光ができる距離感だ。再来年には、札幌と小樽を結ぶ札樽(さっそん)自動車道が余市(よいち)まで伸びるのでもっと便利になる。小樽から来るときの高速道路の出口も新しくコースの近くにできることになっている。アクセスがよくなれば小樽を拠点にしたひと味違うプランも立てやすくなる。レトロモダンな運河の街、小樽には歴史的建造物を改装したカフェや海の幸が美味しいレストランも多く、見どころも満載だ。個人的なおすすめは「おたる水族館」。なかでも北半球の冷たい海にしか生息しないおとぼけポニョ顔のフウセンウオをぜひ。見れば自然と笑顔になります。

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札幌テイネGCの開場は1966年。うぐいすコース、きつつきコースの各9hでスタートした。9年後にらいちょうコース9hが完成し、27hのゴルフ場となった。うぐいすコース、きつつきコースには、平らなところがほとんどなく、打ち上げ、打ち下ろしホールが多いので高低差のジャッジが難しい。ブラインドホールも多く、ターゲットが絞られるので難易度は高いが、そのぶんチャレンジしがいのある「山岳」コースだ。一方、らいちょうコースは距離も短く、ほとんどがフラットで真っ直ぐなホール。石狩湾や暑寒別岳(しょかんべつだけ)を臨む景色のよさもあり、道外客や海外客からの人気が高い。「ただ、難易度が高いといっても全ホールに攻略ルートがありますから。山にぶつければ落ちてくるとか(岩堀支配人)」確かに逃げ道はつねにある。アンフェアな感じはない。景色の圧迫感に惑わされなければ大怪我は避けられるはずだ。

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現在は乗用カートになったが、以前は歩きラウンドのみだった。この激しい起伏で。「クラブ選手権だと36ホール歩きですから。しんどいですよね(岩堀支配人)」それは絶対にレジャーなんかじゃない、苛酷なスポーツだ。カートでも大変なのに、今年のクラブチャンピオンはなんとシニアチャンピオン、ミッドシニアチャンピオンも制して三冠を達成した69歳。「来年はそのかたが70歳になられるので、グランドシニアも入れて四冠を獲るのではと今からみんなで震えています(笑)」。決勝は36ホールマッチだというのに。おそるべし69歳。いぶし銀どころの騒ぎじゃない。どれだけのフィジカルとメンタルか。「北海道はアスリート系ゴルファーが多いですね。ゴルフ場をハシゴするひともいますよ」。シーズンが短いぶん貪欲になるのだろう。「半年で50~60ラウンドってメンバーもいます。本州のゴルファーとは気合いが違いますね」

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「ここでは、練習場では決して学べないあらゆる極端なシチュエーションを経験できますから(岩堀支配人)」腕を磨くというよりも「技術が勝手に身につくんです」。ここでラウンドするうちに「球を操れるようになります」。スイングでもショットでもなく「球を操る」。なんてわくわくする言葉だろう。そうそうパーオンはしないコースなので、当然アプローチの引き出しもどんどん増える。さらにグリーンも難しい。とにかく芝目が強いのだ。山から海への順目の速いこと。上りのパットなのにどうしてグリーンから出ちゃったんだろう。何度考えてもわからない、騙し絵みたいなグリーンに翻弄されて愉快だった。

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ブレザー姿の「支配人」が、ゴルフウェアに着替えると完全に競技ゴルファーのおもむきだった。目土のオニと化し、毎ホール目土袋に砂を補充する姿も神々しく、メンバーに鍛えられたゴルフは流石の腕前。ラウンド終了後、ブレザー姿に戻っても、ラウンド前の支配人は戻らず、そこにいたのはゴルフに燃えるひとりのアスリートゴルファーだった。札幌テイネGCのシンボルマークのモチーフはギリシア神話の勝利の女神「NIKE(ニケ)」。アスリート魂をくすぐるゴルフ場にふさわしいそのマークは各ホールのティーマークにも使われている。コースとの闘い、そして自分との闘い。女神に微笑んでもらえるよう、気合いを入れて挑みたい。

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