「いい意味で軽はずみ」だから進化しつづける[キャメルゴルフリゾート]

写真:落合隆仁(グラン)
文:Lisa Okuma(リサオ)
取材協力:キャメルゴルフリゾート

01/なにか思いついたらすぐ実行する

Surf & Turf(サーフ&ターフ)という言い回しがある。簡単に言うと「波と芝」。もともとは海の幸、山の幸の意味でいかにもアメリカンなロブスターとステーキのセットメニューのことを言ったが、今では「サーフィンとゴルフ」という意味合いで使うことが多い。サーフィンとゴルフ?なんで?全然違うじゃん、と多くの日本人が思うかもしれないが、トップサーファーが集う世界のビーチ周辺には素晴らしいリンクスコースがあることが多く「今日は波がイマイチだからゴルフにするか」となるのは自然の成り行き。そうなったらこっちのもので、サーファーは人生を楽しむ術を知ってるひとが多いから、ゴルフの楽しさを見逃すはずがない。

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サーフィン界の超カリスマ、ケリー・スレーターはじめ、ゴルフに真剣に取り組むプロサーファーも多い。サーフィンを愛するプロゴルファーとしてはアダム・スコットの名前ぐらいしか聞かないが、たぶんそれは偏屈ゴルファーの食わず嫌いのなせるわざ。先入観を捨ててやってみれば実は類似点も多く見つかる。どちらも、あまりに奥が深く、ハマれば人生のかなりの時間を注ぎ込むことになる。また、コントロールできない自然を相手にしているということ。波やライや風など、再び同じ状況下には絶対にならない一期一会のテイクオフなショットであること。技術のみならず、そこでの判断力がすべてを決めるということ。つまり、どちらも、あらゆる側面で唯一無二の瞬間を楽しむことができるスポーツなのだ。

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千葉県房総半島の東南端にあるキャメルゴルフリゾートは海から車で13分、宿泊施設も充実しており、サーフ&ターフにはもってこいのゴルフ場だ。実際、今回お話を伺ったセールスマネージャーの児玉夏奈子氏はキャリア20年のサーファーで、15年前、サーフィンのためにこの地に移住してきた。ならば適役、せっかくだから、日本ではなかなか交わらないサーファーとゴルファーがそれぞれのスポーツを知るきっかけの場所になるといいですねと言うと「サーフボードのレンタルがあれば敷居が低くなりますよね?その方向で考えます」と即答。え、思いつきで言っただけなのに大丈夫ですか?と心配すると「大丈夫です。なにか思いついたらすぐ実行する。社長がそういうひとですので」。つまりここでは従業員全員の思いつきが採用される可能性大なのだ。

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そういえば、アウトコース7番のところにあるお茶屋のまわりだけ突然ものすごい異国情緒漂うお花畑になってましたけど。「お茶屋のおねえさんは花好きで、管理をお願いしたらいつの間にかああなってました(笑)」。なんと個人の趣味だったとは。そのおねえさん、取材時には不在で、会いたかったなーと言うと「いませんでした?気まぐれなんですよね」と微笑む児玉氏。あまりの度量の広さに度肝を抜かれて惚れました。「とにかく皆さんに喜んでもらえそうな面白いことならなんでもやってみようと」。たぶん社長も児玉氏も、並外れて懐が広い。決断力がある。失敗をおそれない。でもちょっと軽はずみですよね?「あはは、まさに、軽はずみ(笑)」あ、その、もちろん、いい意味で。「ええ、いい意味で(笑)」でもたぶん、それこそが、キャメルゴルフリゾートが進化をし続ける理由に違いない。

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夏は涼しく冬も温暖という気候に恵まれながらも、市原鶴舞インターから約35分という地の利の悪さを破格のプレーフィだけで補うことは難しく、だからこそ、アイデアが命綱となる。敷地内にはホテルだけでなく、リーマンショック後に引き取ったヴィラもある。当初、富裕層向けのタイムシェア別荘として売り出された「グレンフィールド房総御宿」だ。だが、ゴルファー相手では限界がある。そこで「宿泊」をメインに、休暇にやってくるファミリー向けのサービスを考えるようになった。ポニーやカルガモやウサギと触れあえるアニマルパークを作り、ダーツやビリヤード、卓球などの設備も入れた。また、エアコン完備のケージ付き専用ルームには犬を預けることもできる。遊具やテレビ、DVDを楽しめるキッズルームもある。お父さんがゴルフをしている間にお母さんと子供が退屈することもない。もちろんクラブハウスの大きなお風呂にも入れる。ゴルフ場らしからぬ不思議な設備やモノや生き物がいるのはそういう理由からだ。

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これから新たな試みがどんどん始動する。まずは、フットゴルフ。2008年にオランダでルール化された新しいスポーツで、いまや欧米を中心に30ヶ国以上で楽しまれている。簡潔に言うとサッカーボールでするゴルフ。ゴルフ場でゴルフウェアを着てゴルフのルールでプレーをするが、ゴルフと違うのはボールがサッカーボールでクラブのかわりに競技者の足を使うことだけ。ゴルフと違って誰でもすぐにプレーできるし、緑に囲まれたゴルフ場の環境でボールを蹴ればかなりの爽快感を味わえる。ゴルフ場側の負担も少なく、直径約53cm深さ30cm以上のカップをラフにしつらえ、旗をたてれば完成。普段はマンホールで覆って目印の旗をたてているのでゴルファーが落っこちる心配はない。ゴルフと同じく9ホールで約2時間半、ラウンドの最終組が上がる16~17時から開放する。たとえばゴルフ1ラウンド後の追加ハーフをフットゴルフにしたり、普段は子供が入れないゴルフ場で家族みんなで遊んだり、楽しみかたは様々だ。2014年に設立した日本フットゴルフ協会の公認を受け、今月から本格始動した。

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そして次にお目見えするのは釣り堀だ。ゴルフと釣り。またしても愉快なクロスオーバー。その他にも、ゴルフ場をレンタルスペースとして考える「場所貸し」のアイデアがどんどん生まれている。まずは、キャンプ体験。夜のゴルフ場にいられることを考えただけでワクワクする。ゴルフしてもよし、しなくてもよし。平らな芝生のスペース、あるいは1ホールまるまる貸し出すことも考えている。テントを張ってグランピング(グラマラスなキャンピング)を楽しんだり、1ホール貸し切って光るボールでナイトゴルフを堪能したり。ドローンのレンタルと飛ばすための場所貸しや、サバイバルゲームなどの展開も考えている。思いついたらどんどん推進するのだ。

もちろん今までには失敗もある。たとえばナイター。近隣にナイター設備のしっかりしたゴルフ場があったからだ。でも転んでもただでは起きない。上がりが19時頃になる「夕暮薄暮プレー」に変えたら予約が入るようになった。涼しくなる夕方にあらわれる敵、ブヨもここにはいないので安心してラウンドできる。

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さて、肝心のコースは、ジャンボ尾崎が監修にかかわった戦略的な丘陵コースだ。クラブハウスにはジャンボ尾崎プロフォトミュージアムがあり、本人から直接預かっている写真や優勝カップが展示してある。だがしかし、社長の「思いつきをすぐカタチにする精神」はここにも生きている。「数年ぶりに来られるとコースレイアウトが変わっている可能性があります」と児玉氏。そう、もともと設計畑の社長はつねに「ここをこうしたらもっと面白くなるのでは?」と思い続けているのだ。昔はバンカーが多すぎて難しすぎた、フェアウェイも狭かった、見通しも悪かった。これら、ぜんぶ、改修した。「あと、カート道の修繕もしているので」そういえばコース内のそこここに、働くクルマが存在していた。ユンボ、フル稼働ですね?「そうですね。ほんとにフル稼働。最近やっと少し落ち着いてきました(笑)」

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元の名を、御宿ゴルフクラブ。キャメル(ラクダ)になったわけは童謡「月の沙漠」にある。「月の沙漠をはるばると旅のらくだがゆきました」から始まる有名な詩は、大正時代の代表的な抒情画家のひとり、加藤まさをが結核療養のため滞在した御宿海岸をモチーフに書いたといわれ、ラクダに乗った王子様とお姫様が月下の沙漠をいく情景を描いている。だからキャメル。さらに、フェアウェイに多くみられるアンジュレーションがまるでラクダのコブのようだからという意味合いもある。とにかく「ラクダ推し」なのだ。場内にあるラクダのオブジェはたぶん100個以上。これだけラクダ推しなら、いっそホンモノのラクダに乗れるようにするとか?「いいですね。それ、書いてください。実現させましょう」と児玉氏。さすがです。夢が広がります。老若男女、ゴルファー、ノンゴルファーを問わず、いろんな遊びを体験できる場所、そして、そこに行ったひとの提案で新しいアクティビティが増えるかもしれない場所。ゴルフ場の枠を超え、可能性は無限大。

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